
目次
事例の概要

◆利用サービス | 「家族信託組成コンサルティングサービス(プランB・自宅)」 |
◆家族構成
| 母(80歳)=千葉県船橋市在住 ★委託者★ |
長女(55歳)=カナダ在住 | |
二女(50歳)=千葉県船橋市在住 ★受託者★ | |
◆信託財産 | (不動産)自宅の土地・建物(100坪、築46年) (金銭)3000万円 |
◆解決までの期間 | 3ヶ月 |
◆相談者 | 小笠原尚美様(仮名) |
※「家族信託組成コンサルティングサービス(プランB・自宅)」とは、「家族信託組成コンサルティングサービス(プランB・自宅)」とは、自宅不動産の管理・処分権限をご家族へ移転することを目的に、信託スキーム設計から契約書作成、公証役場や信託口口座開設の調整、および信託登記手続を一括して代行するサービスです。認知症による「実家凍結(売却不可)」リスクを回避できるため、将来の介護施設入居費用に充てるための売却や、管理費用の支払いを円滑にし「いざという時に自宅をスムーズに売却できるようにしたい」という方に最適です。
本事例は、千葉県船橋市にお住まいの二女・小笠原尚美様(仮名・50歳)からのご相談です。20年前に他界されたお父様が遺した実家の土地・建物(100坪、築46年)と金銭3,000万円を対象に、当法人の「家族信託組成コンサルティングサービス(プランB・自宅)」をご利用いただきました。
同居されるお母様(80歳)は心臓に持病を抱えており、同居予定だったご長男はすでに他界、ご長女(55歳)はカナダに在住しているため、日本での生活サポートや将来の相続手続きはすべて小笠原様が担うご状況でした。
ご実家を売却して駅前の新築マンションへ住み替える計画を立てたものの、新居の引き渡しが1年半後となるため、その間にお母様の判断能力が低下し、不動産の売買ができなくなる「資産凍結リスク」が大きな課題となっていました。
そこで当法人がサポートに入り、ご相談から約3ヶ月という短期間で、お母様を委託者、小笠原様を受託者とする家族信託を組成しました。これにより、実家の売却から新居の購入までを小笠原様の権限で一貫して安全に実行できる法的な体制を整えた事例です。
1. ご依頼の背景
千葉県船橋市にお住まいの小笠原様は、お母様と二人で築46年、100坪のご自宅で暮らしていらっしゃいました。20年前に他界されたお父様が残したご自宅は、お母様と二人で住むには広すぎ、庭の手入れや固定資産税の負担が大きいため、以前から漠然と住み替えを検討されていました。
将来的にはご長男のご家族と同居する予定でしたが、ご長男が不慮の事故で他界され、そのご家族は別の場所で生活されています。また、外資系企業にお勤めのご長女はカナダ人と結婚して現地に在住しており、日本へ戻る予定はありませんでした。そのため、お母様の介護や将来の相続に関する対応は、独身である小笠原様に任せるというご意向をご家族で共有されていました。
そのような折、地元の駅前に新築マンションが建設されることを知ります。お母様と内覧に訪れたところ、立地や間取りなどの条件が非常に良く、ご自宅を売却してそのマンションへ引っ越すことを決意されました。
しかし、ここで「マンションの決済および引き渡しまで1年半以上かかる」という大きな課題に直面します。お母様は日常生活を問題なく送られていたものの、心臓に持病を抱えていらっしゃいました。もしこの1年半の間に、お母様の判断能力が低下してしまえば、ご自宅の売却も新居の購入も法的に不可能となる「資産凍結」のリスクを抱えることになります。また、ご長女が海外在住であるため、将来の相続手続きの負担がすべて小笠原様に集中してしまうという懸念もありました。
事態を重く見た小笠原様は、不動産の仲介業者に相談し、そこからの紹介で当法人へご相談にお越しになりました。
2.解決までの道のり / ミラシアだからできたこと

ステップ1:初回相談で、住み替えを実現する具体的なロードマップを提示
面談時、小笠原様は「1年半先の決済までに母の判断能力が低下したら、すべてが白紙になってしまうのではないか」と強く懸念されていました。担当の元木は現在の状況を詳細にヒアリングした上で、「家族信託」を活用した解決策をご提案しました。
具体的には、お母様を委託者、小笠原様を受託者として、ご自宅の不動産と金銭(3,000万円)を信託財産とするスキームです。家族信託を利用してご自宅を売却するケースは広く知られていますが、売却代金をもとに受託者の権限で新たな不動産を購入(住み替え)することまで可能な点は、一般的にはあまり知られていません。
当法人の過去の実務経験と知見をもとに、お母様の判断能力に左右されることなく、小笠原様の権限で売却から購入まで一貫して行えることをご説明しました。これにより、住み替え計画における懸念事項が払拭され、小笠原様にも安心して計画を実行していただくことになりました。
ステップ2:「住み替え」と「相続対策」を両立させる信託契約の設計
具体的な方針の決定後、当法人にてオーダーメイドの信託契約の設計に着手しました。
今回の目的は、単なる財産の維持管理ではありません。「現在の自宅を売却すること」と「その売却代金をもって新しいマンションの購入代金に充てること」という一連の法律行為を、受託者である小笠原様の権限として信託契約書に明確に規定しました。
さらに、家族信託には、信託終了時(お母様のご相続発生時)における財産の帰属先をあらかじめ指定できる「遺言書」と同様の機能があります。カナダにお住まいのご長女ともオンライン等で協議を重ね、新しく購入するマンションは小笠原様が取得し、残った金銭はご長女と小笠原様で半分ずつ分けるという内容を契約に盛り込みました。これにより、1年半の間の認知症対策だけでなく、将来の遺産分割協議を不要にする相続対策も同時に完了させることができました。
ステップ3:売買契約書のリーガルチェックと登記まで見据えた一貫サポート
信託契約の組成後、実際の不動産取引における実務サポートも欠かせません。当法人は、不動産会社が作成するご自宅の売買契約書および新居の購入契約書を事前に確認するリーガルチェックを実施しました。受託者として契約の当事者となる小笠原様が、法的に不利益を被ることがないよう細心の注意を払いました。
また、専門性の高い信託登記はもちろんのこと、将来の実家売却時や新マンション購入時の所有権移転登記に至るまで、当法人がワンストップで対応する体制を整えました。法的な仕組みの設計から、約3ヶ月という短期間で公証役場での手続きや法務局への登記申請を完了させ、その後の不動産取引の決済まで一貫して伴走する当法人のサポート体制をご提示し、ご安心いただくことができました。
3.サポートの結果とお客様の声
当法人のサポートにより、1年半先の新居の引き渡しまでの間に懸念されていたお母様の判断能力低下リスクを回避し、二女である小笠原様の単独の権限で、実家の売却から新居の購入までを実行できる法的な基盤が整いました。
また、認知症対策と同時に、ご長女を交えた財産承継の道筋も信託契約に組み込むことができ、将来の相続手続きに関する不安も解消されました。ご相談から約3ヶ月という短期間で、複雑な「住み替え」を目的とした家族信託の設計から登記までが完了し、実際の不動産取引においても継続的な専門家のリーガルサポートを受けられる体制を構築しました。
すべての手続きが完了した後、小笠原様からは次のようなお言葉を頂戴しました。
4.担当司法書士から
初めて小笠原様とお会いした際、心臓に持病を抱えるお母様の体調を案じるお気持ちと、1年半という期間に対する強い不安を抱えていらっしゃいました。本件における最大の課題は、その時間的リスクを排除し、お母様とご家族の希望である「住み替え」を安全に実現するための法的枠組みを迅速に構築することにありました。
一般的な家族信託は、ご自宅の「売却」による資金確保や管理を目的とすることが多いですが、本件のように「信託財産である金銭を使って、新たに不動産を購入する」というスキームを安全に実行するには、信託法務だけでなく、不動産取引の実務に関する高度な知見が不可欠です。当法人がこれまで手掛けてきた「住み替えを見据えた家族信託」の豊富な組成実績を活かし、売買契約書のリーガルチェックから所有権移転登記までを一貫してサポートできる体制をご提供できたことが、計画を滞りなく進めるための鍵となりました。
小笠原様がすべての手続きを終えられ、「これで安心して生活の準備に集中できます」と安堵されたご様子を拝見し、専門家としてご家族の生活基盤を守る実務的なお手伝いができたことを大変光栄に思います。
ご自宅の管理の負担から住み替えを検討されつつも、ご親族の健康状態や将来の相続手続きに不安を抱えていらっしゃる方は少なくありません。司法書士法人ミラシアでは、ご家族ごとの個別具体的な状況に応じ、確実で安全な解決策をご提案いたします。どのような些細なことでも構いませんので、まずは一度、専門家である私たちにご相談ください。

司法書士 元木翼


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