
事例の概要

◆利用サービス | 「家族信託組成コンサルティングサービス(プランC・自宅)」 |
◆家族構成
| 父の姉(77歳)=京都府京都市 ★委託者★ |
父(70歳)=東京都千代田区在住 ★委託者★ | |
母(69歳)=東京都千代田区在住 | |
長男(45歳)=神奈川県横浜市在住 | |
| 長女(42歳)=東京都世田谷区在住 | |
| 次女(40歳)=京都府亀岡市在住 | |
| 三女(35歳)=大阪府大阪市在住 | |
◆信託財産 | 金銭5,000万円 |
◆解決までの期間 | 6ヶ月 |
◆相談者 | 小出貞治様(仮名) |
※「家族信託組成コンサルティングサービス(プランC・収益物件)」「家族信託組成コンサルティングサービス(プランC・収益物件)」とは、収益不動産の管理・処分権限をご家族へ移転することを目的に、信託スキーム設計から契約書作成、公証役場や信託口口座開設の調整、および信託登記手続を一括して代行するサービスです。認知症による「経営凍結」リスクを回避できるため、信託口口座での家賃管理や賃貸借契約、大規模修繕・建替え・売却を行う権限をご家族へ託し、「不動産経営を停滞させず、円滑に資産承継したい」という方に最適です。
後継者候補となるお子様が4名いらっしゃり、誰か一人にすぐには決めきれないというお悩みを抱えていた事例です。ご相談者は、ご高齢のお姉様と共有で所有する京都の不動産管理に頭を悩ませていた70代の男性でした。
後継者候補となるお子様が4名いらっしゃり、誰か一人にすぐには決めきれないというお悩みを抱えていた事例です。ご相談者は、ご高齢のお姉様と共有で所有する京都の不動産管理に頭を悩ませていた70代の男性でした。
私たちは、お子様個人を受託者(財産を管理する人)にするのではなく、一般社団法人を新たに設立して受託者にするスキームをご提案しました。これにより、約6ヶ月という期間で、個人の健康状態や寿命に左右されない永続的な資産管理体制を構築することに成功しました。
1. ご依頼の背景 ~共有不動産の老朽化と後継者不在の危機~
ご相談者の小出貞治様(70代・千代田区在住)は、京都にあるご実家兼収益物件を、現地で暮らすお姉様と共有で所有されていました。この建物は築60年という歴史があり、老朽化や近隣の建替えに伴って、大規模な修繕や隣地との境界確定といった、専門的で負担の大きい対応が想定される時期に差し掛かっていました。
しかし、共有者であるお姉様は77歳とご高齢で独身、お子様もいらっしゃいません。体調面から複雑な交渉事への対応が困難になっており、東京にお住まいの小出様も「もし自分や姉に万が一のことがあれば、この不動産は管理方針が決まらない塩漬け状態になり、子供たちに負の遺産を残してしまうのではないか」という強い危機感を抱いていらっしゃいました。
お姉様のご容態を考えると一刻も早く対策を講じたい状況でしたが、小出様には4名のお子様がおり、「誰か一人を後継者として受託者に選ぶ」ことができずにいました。特定の子だけに管理の重責を負わせたくないという親心や、まだ誰に任せるべきか見極めきれていないという迷いがあり、この「後継者が決められない」という事実が、対策を前に進めるための最大の障壁となっていました。
2.解決までの道のり / ミラシアだからできたこと

ステップ1:後継者選びの悩みを、「法人」の活用で解決する
初回相談時、小出様は「子供たちの中から、今すぐ誰か一人の責任者を決めなければならない」と思い悩んでいらっしゃいました。そこで私たちは、受託者を個人ではなく「法人」にする手法をご提案しました。
個人が受託者となった場合、その人が認知症になったり亡くなったりすると、財産の管理がストップしてしまうリスクがあります。しかし、法人は人間のように認知症になることも、寿命を迎えることもありません。そのため、管理の主体を法人に置くことで、個人の体調に左右されずに不動産を安全に守り続けることが可能になります。小出様は元々会社を経営されていたご経験があり、法人運営の仕組みに馴染みがあったことも、このご提案をスムーズに受け入れていただける要因となりました。
ステップ2:なぜ「一般社団法人」なのか。
複雑な法制上のリスクを回避する緻密な設計 ここで非常に重要になるのが、「株式会社や合同会社ではなく、なぜ一般社団法人を設立するのか」という点です。
株式会社や合同会社は、利益を追求する「営利」を目的とした法人です。もし株式会社が、報酬を得て反復継続的に他人の財産管理(信託)を引き受けると、「信託業」を行っているとみなされる可能性があります。信託業を行うには金融庁などの厳しい許可や登録が必要であり、無免許で行うと信託業法違反という重大な法律違反に問われかねません。
一方で、一般社団法人は「非営利法人」です。利益の分配を目的としないため、家族の財産を管理・承継するという純粋な目的において、ビジネス(営利事業)であると疑われる余地が少なく、コンプライアンス上極めて安全な設計が可能です。私たちはこの法的な違いとリスクを丁寧に説明し、一般社団法人の設立を決定しました。
さらに、この法人を活用した「後継者選びの先送り」の仕組みも構築しました。 設立時の法人の構成員(社員)には小出様と長男様に就任いただき、まずは小出様ご自身が代表理事として不動産管理の陣頭指揮を執ります。そして、他のお子様たちも将来的に法人の理事や社員として関わらせることで、徐々に財産管理業務に携わってもらいます。これにより、「まずは小出様ご自身が管理を続けながら、お子様たちの適性をじっくりと見極め、将来的に最適な子へ代表理事の地位を譲る」という、柔軟かつ円満な承継ルートを実現しました。

ステップ3:顧問税理士との連携と、司法書士法人としての一貫したサポート体制
法人を受託者とする場合、法人の設立費用や毎年の維持コスト、さらには将来的な税務上の影響(不動産取得税や法人税など)も慎重にシミュレーションする必要があります。そのため、私たちは小出様のご家族が日頃から依頼されている顧問税理士の先生と緊密に連携を取りました。法務面からのアプローチは私たちが担い、税務面での検証は税理士の先生にお願いすることで、多角的な視点から精緻で抜け漏れのない計画を練り上げました。
また、ミラシアは司法書士法人を母体とするグループです。一般社団法人の設立手続き(定款の作成、公証役場での認証、法務局への登記申請)から、その後の家族信託契約の締結、不動産の名義変更(信託登記)まで、すべての実務プロセスを外部に委託することなく当法人内で完結させることができます。 この一貫したサポート体制により、高度で複雑な手続きを同時並行で無駄なく進めることができ、ご相談から約6ヶ月という短期間で、ご家族の財産を守るための盤石な仕組みを完成させることができました。
3.サポートの結果とお客様の声
一般社団法人を設立して受託者としたことにより、ご家族個人の事情や健康状態に振り回されない、永続的で安定した不動産管理の基盤が整いました。信託業法違反のリスクを完全に回避した法的に安全なスキームでありながら、後継者を無理に今すぐ一人に絞る必要がなくなり、将来的に最適なご子息へバトンを渡せる柔軟な仕組みが実現しています。小出様は現在、法人の代表理事として自ら不動産の修繕計画などに携わりつつ、お子様たちに実地で管理業務を伝えていらっしゃいます。
手続き完了後、小出様からは次のようなメッセージを頂戴しました。
4.担当司法書士から
初めてお話を伺った際、京都でお一人で暮らすお姉様を気遣うお気持ちと、4人のお子様たちの間で負担の押し付け合いや不公平感を生じさせたくないという深い親心の間で、小出様がどれほど悩まれていたかが伝わってきました。「対策をしなければならないのは分かっているが、誰に任せればいいのか決められない」というジレンマは、不動産を共有している多くのご家族が直面する非常に現実的で切実な問題です。
今回私たちがご提案した「一般社団法人を受託者にする」というスキームは、家族信託の中でも特に高度な専門知識を要する領域です。信託業法との法的な整合性を保つことはもちろん、将来の役員交代のルールを定款にどう落とし込むか、法人を維持していく上でのランニングコストをどう見積もるかなど、考慮すべき点は多岐にわたります。こうした難易度の高い案件を自信を持ってご提案し、実行まで完遂できたのは、当法人がこれまで2,000件を超えるご相談を通じて積み上げてきた膨大な実務経験と、司法書士法人として手続きを完結できるノウハウがあったからに他なりません。
スキーム設計の段階では、小出様と顧問税理士の先生を交え、ホワイトボードを用いながら「なぜ株式会社ではなく一般社団法人が安全なのか」「税務上のメリット・デメリットは何か」を一つひとつ丁寧に紐解いてご説明しました。複雑なパズルが解けるように道筋が明らかになった際、小出様が深く安堵され、「これなら道が開けます、ぜひ進めてください」と力強くおっしゃっていただけた瞬間は、専門家として非常に大きなやりがいを感じました。
司法書士の役割は、単に言われた通りの契約書や登記書類を作成することではありません。ご家族が抱える言葉にならない不安や制約をくみ取り、専門的な知見をもって「安全で確実な選択肢」を提示し、決断を後押しすることこそが本来の使命だと考えています。今回構築した「一般社団法人」という器は、これから数十年という長きにわたり、小出様ご家族の大切な資産と円満な関係を守り続ける強固な防波堤となってくれるはずです。
ご家族の状況や抱える課題は一つとして同じものはなく、教科書通りの定型的な解決策がすべてのご家庭に当てはまるわけではありません。もし、「将来の管理を誰に託せばいいのか分からない」「共有不動産の扱いに行き詰まっている」といったお悩みを抱えていらっしゃるのであれば、まずは私たちにそのご事情をお聞かせください法務と税務の両面から、あなたのご家族にとって最も安心できる「最善の形」を一緒に見つけてまいりましょう。

司法書士


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