「まさか、あの父が…」400万円の詐欺被害を受けた、厳格な元教師の誇りと老後資金2000万円を守った家族信託

事例の概要

◆利用サービス

家族信託組成コンサルティングサービス(プランB・自宅)※

◆家族構成

父(88歳)=東京都練馬区在住 ★委託者兼受益者★

母(85歳)=東京都立川市在住(施設)

長女(55歳)=東京都練馬区在住 ★受託者★

次女(50歳)=茨城県水戸市在住

◆信託財産

(不動産)自宅の土地・建物(東京都練馬区・築45年・60坪)

(金銭) 2000万円

◆解決までの期間

3ヶ月

 

長女 榎本聡美様(仮名)

※「家族信託組成コンサルティングサービス(プランB・自宅)」とは、自宅不動産の管理・処分権限をご家族へ移転することを目的に、信託スキーム設計から契約書作成、公証役場や信託口口座開設の調整、および信託登記手続を一括して代行するサービスです。認知症による「実家凍結(売却不可)」リスクを回避できるため、将来の介護施設入居費用に充てるための売却や、管理費用の支払いを円滑にし「いざという時に自宅をスムーズに売却できるようにしたい」という方に最適です。

厳格な元教師のお父様が400万円もの詐欺被害に遭われたことをきっかけに、ご長女からの相談で家族信託を活用した事例です。残された老後資金2000万円を悪質な詐欺から守るため、ご本人の判断だけで高額な出金ができない確実な仕組みを構築し、お父様の平穏な暮らしとご家族の安心を取り戻しました。

1.ご依頼の背景:厳格な父を襲った400万円の詐欺被害

ご相談者である榎本聡美様(仮名)は、お父様が一人で暮らす練馬区のご実家近くにお住まいでした。お母様が施設に入所されてからの2年間、聡美様は献身的にお父様の様子を見守り続けていました。

ある日、いつものようにご実家を訪れた聡美様は、リビングのテーブルに無造作に置かれた通帳をふと目にしました。何気なく開いたそのページに、聡美様は目を疑うことになります。そこには「200万円」という高額な出金記録が、ごく短い期間に2度も記されていたのです。

聡美様が驚いて理由を尋ねても、お父様はしばらく口ごもるばかりでした。しかし、やがて重い口を開き、特殊詐欺に遭い、合計で400万円もの大金を騙し取られてしまった事実を打ち明けられました。

元教師で、誰よりも厳格でしっかり者だったお父様。そのお父様が、誰にも言えずにたった一人で悩み、警察に相談してもお金は戻らないという現実に打ちひしがれている姿を目の当たりにし、聡美様は言葉にならないほどのショックと、得体の知れない恐怖を感じたといいます。

「このままでは、父の判断力はますます衰えていってしまうかもしれない。そうなれば、残された2000万円の老後資金も、両親が大切にしてきたこの実家も、すべて悪い人たちに奪われてしまう」

この切迫した危機感が、聡美様を突き動かしました。その時、脳裏によみがえったのが、以前に参加した当法人代表の元木が登壇した家族信託セミナーでした。聡美様は藁にもすがる思いで、私たちミラシアの事務所の扉を叩いてくださったのです。

2.解決までの道のり / ミラシアだからできたこと

ステップ1:判断能力がある今だからこそ。「成年後見」ではなく「家族信託」を選んだ理由

お問い合わせ当初、聡美様は「父の財産を守るには、成年後見人をつけるしかないのでしょうか」と、公的な制度の利用を検討されていました。

しかし、私たちはご家族の状況を詳しく伺った上で、「成年後見制度」ではなく「家族信託」をご提案しました。その最大の理由は、お父様の現在の健康状態と成年後見を利用するための要件の関係です。。

成年後見制度は、原則として「認知症などで判断能力が低下した後」でなければ利用できません。今回のお父様のように、詐欺被害には遭ってしまったものの、日常生活の会話や判断には問題がない場合、家庭裁判所に後見開始を申し立てても認められない可能性が高いのです。また、仮に利用できたとしても、資産が凍結されるに等しく、ご家族による柔軟な管理ができなくなるデメリットもありました。

「お父様は、まだしっかりとした意思をお持ちです。だからこそ、今の元気なうちに契約を結べる『家族信託』が最適なのです」

判断能力が低下してからでは遅い。まだ元気な今だからこそ、詐欺から資産を切り離して守る対策が打てる。この法的な根拠と詳細をご説明したことで、聡美様も「父のプライドを守りながら対策できる唯一の方法だ」と確信され、家族信託を進める決意を固められました

ステップ2:お父様の「教師としての自負」を尊重した対話と、家族全員の合意

本件の最大のハードルは、厳格な元教師であるお父様に、財産管理権を移転することをご納得いただく点にありました。単に「詐欺に遭ったから管理を代わる」と伝えては、お父様を否定することになりかねません。

そこで私たちは、聡美様と共に実家を訪問し、専門家として客観的な立場から、以下のように丁寧にお話しさせていただきました。

「先生(お父様)、長年教職に就かれ、ご自身で立派に資産を築いてこられたこと、深く敬服いたします。だからこそ、昨今の巧妙化する特殊詐欺から、その大切な資産を守り抜く必要があります」

まず、お父様のこれまでの功績を尊重しました。その上で、具体的な対策を提案しました。

「これは、お父様の管理能力を疑っているわけでは決してありません。相手は犯罪のプロです。万が一、再び悪意ある電話がかかってきても、物理的にお金が動かせない『安全な金庫』を用意し、その鍵を信頼できる聡美様に預ける。そういった『守りの仕組み』を今のうちに作っておきませんか」

「娘さんに財産をあげるのではなく、管理を任せるだけです。通帳の名義は変わりますが、そのお金はお父様のためにしか使えません」

このように、権利を奪うのではなく「守るための契約」であることを誠心誠意ご説明しました

また、この話し合いには、茨城県にお住まいの妹様にもオンライン(Zoom)でご参加いただきました。 遠方のご家族も画面越しに顔を合わせ、リアルタイムで同じ説明を聞いていただくことで、「姉が勝手にやっているのではないか」といった誤解を防ぎ、家族全員が「父を守る」という目的を確認することができました。

結果として、当初は警戒されていたお父様も、娘様たちの真剣な思いと専門家の説明に耳を傾け、最後には「そうか、敵から守るためか。聡美がやってくれるなら安心だ」と、納得して家族信託のご契約に進むことができました。

ステップ3:信託契約の締結と「信託口口座」による財産の確実な保全

ご家族全員の合意形成ができた後は、詐欺の再発リスクを断つための具体的な仕組み作りに着手しました。

まずは、お父様と聡美様の間で取り決めた内容を法的に確実なものにするため、信託契約書を作成し、公証役場にて公正証書を締結しました。これにより、財産の管理権限が聡美様へ移ること、そしてその財産はあくまで「お父様のためにのみ使われること」が明確に定められます。

続いて、今回の最大の防衛策となる「信託口口座(しんたくぐちこうざ)」の開設手続きを行いました。 通常のお父様名義の口座のままでは、仮に再び詐欺犯から電話がかかってきた際、お父様ご自身が窓口へ行けば簡単にお金を引き出せてしまいます。これを防ぐために不可欠なのが、お父様個人の財産と明確に切り離す「分離機能」を持った専用口座です。

当法人のサポートのもと、金融機関で「委託者(お父様)のための財産を、受託者(聡美様)が管理する専用口座」として信託口口座を開設しました。そこに老後資金の2000万円を移動させることで、資金はお父様の手元から法的に切り離されます。 これにより、お父様単独では出金手続きが一切できなくなり、詐欺犯が言葉巧みに誘導しても、資金を引き出される心配のない体制を整えることができました。同時に、この信託口口座はお父様のお金と聡美様ご自身のお金が混同しないよう、厳格に分けて管理されます。そのため、妹様など他のご親族から見ても「お父様のためにいくら使われたか」が通帳の履歴から一目で分かり、将来「姉がお金を使い込んだのではないか」といった無用な疑念やトラブルを未然に防ぐことができます。

さらに、私たちは、まとまった資金の保全だけでなく、お母様が入所されている施設の月々の費用支払いをどのように行うかなど、今後の生活全般にわたるお金の流れについても整理し、アドバイスを行いました。 契約書を作って口座を開設して終わりではなく、聡美様が迷うことなく、安心して日々の財産管理を継続できる環境を整えました。

3.サポートの結果とお客様の声

お父様の財産を詐欺被害から守り、さらに将来の判断能力低下に伴う口座凍結のリスクも回避できる、確かな管理体制を構築することができました

今回の手続きでは、お父様のお気持ちやこれまでの歩みを何よりも尊重しながら、2000万円の老後資金とご自宅の管理・処分権限を、ご長女の聡美様へスムーズに移行することができました。

また、遠方にお住まいの妹様にもご同席いただき、ご家族全員が心から納得する形で円満に手続きを終えられたことも重要なポイントです。これにより、今後お父様に介護が必要になったり、判断能力に不安が生じたりした場合でも、ご家族が資産の凍結に悩まされることなく、安心して生活のサポートに専念できる環境を実現いたしました。

全ての手続きを終え、信託口口座の通帳をお渡しした際、榎本聡美様からはほっとしたご様子で次のようなお言葉を頂戴しました。

「相談するまでは、父の元にまた不審な電話がかかってくるのではないかと、常に胸のざわつくような不安を抱えて過ごしていました。先生方が父のプライドを傷つけないよう、言葉を選んで丁寧に説明してくださったおかげで、父自身も納得し、家族が一つになって父を守る体制をつくることができました。無事に手続きが完了し、ようやく肩の荷が下りたような気持ちです。親身に寄り添っていただき、本当にありがとうございました。」

    4.担当司法書士から

    代表社員 元木翼司法書士  元木翼

    初めて聡美様からご相談をいただいた際、「あのしっかりしていた父がまさか…」という戸惑いと、今後の生活に対する強い不安がひしひしと伝わってまいりました。

    今回のサポートにおいて私たちが最も注意したのが、お父様がこれまで歩まれてきた人生や、ご自身の誇りを決して否定しないアプローチです。

    「騙されてしまった」という事実をご自身で受け止め、さらに今後の財産管理を誰かに委ねるということは、ご本人にとって大変勇気のいる決断です。とくに、お父様のように社会的にも立派な経歴をお持ちの方であればなおさらです。単に「家族信託という便利な制度があります」とメリットを並べるだけでは、かえって心を閉ざされてしまったかもしれません。

    だからこそ私たちは、「財産を取り上げる」のではなく、「巧妙な詐欺の手口から、長年築き上げた大切な財産を切り離して守るための仕組み作り」であることを、言葉を尽くしてお伝えしました。こうしたお声がけの工夫は、これまで数多くのご家族の悩みと向き合ってきた実務経験の中で培ってきたものです。

    ご実家での話し合いの末、お父様が「娘に任せる」と静かに頷いてくださり、聡美様がほっとした表情を浮かべられた時、私たちも専門家として深い安堵を覚えました。

    今回の手続きによって、聡美様は詐欺被害の再発という不安から解放され、お父様との穏やかな時間を取り戻すための大きな一歩を踏み出すことができました。私たちは、手続きが終わった後も、ご家族の皆様が安心して暮らせる未来を見守り続けます。

    詐欺被害のような予期せぬトラブルや、親御さんの財産管理のことで、誰にも言えずに一人で抱え込んでいるご家族は少なくありません。どうかご自身を責めず、まずは私たちにお話をきかせてください。専門家の視点が入ることで、解決への糸口は必ず見つかります。どうぞお気軽にご相談ください。

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      経験豊富な専門家が専任担当として、業務完了までサポートいたします。
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    家族信託の取扱実績全927件※!司法書士法人ミラシア
    ※集計期間:2017年1月〜2025年12月