
目次
事例の概要
◆利用サービス | 家族信託組成コンサルティングサービス プランC(収益物件)※ |
◆家族構成・居住地 | 父(68歳)=東京都板橋区在住 ★委託者★ |
妻(64歳)=東京都板橋区在住 | |
長男(36歳)=東京都板橋区在住 ※障害者 | |
次男(33歳)=東京都西東京市在住 | |
三男(31歳)=東京都板橋区在住 ★受託者★ | |
◆信託財産 | 貸アパート(築20年、3階建て) 金100万円 |
◆解決までの期間 | 3ヶ月 |
◆相談者 | 葛西徳治様(仮名) |
※「家族信託組成コンサルティングサービス(プランC・収益物件)」とは、賃貸アパートなどの収益物件と現金の管理に特化し、信託スキーム設計から契約書作成、公証役場や信託口口座開設の調整業務を一括して代行するサービスです。不動産管理会社や銀行、税理士との連携・調整も行います。
ご病気で閉院を決意した医師が、3ヶ月で収益物件を信託。親なきあとも「障害を持つ長男の生活」を支え続ける仕組みを構築した事例です。
1.ご依頼の背景
ご相談のきっかけは、長年クリニックを経営されてきた医師である葛西徳治様ご自身の、予期せぬご病気でした。病気の療養に専念するため、急遽クリニックを閉院せざるを得ない状況となり、ご自身の体調管理と向き合う日々が始まりました。
ご自身の療養と並行して、これまで少し先のことと考えていた「もしも」の事態が、現実的な課題として浮かび上がってきたと、初回のご相談でお話しくださいました。特に、同居されているご長男様には重度の障害があり、「自分たち夫婦がいなくなった後、この子の生活はどうなってしまうのか」という不安が、日に日に大きくなっていったそうです。
ご自身の体調がいつどうなるか分からないという状況の中、「意思がはっきりしているうちに、長男が一生涯お金に困らない仕組みを、何としても作っておきたい」という切実な想いが、葛西徳治様を動かしました。顧問税理士様にご相談されたところ、複雑なご家族の状況や収益物件の管理に詳しい専門家として当法人をご紹介いただき、お問い合わせくださったのです。そのお言葉からは、愛するご家族の未来を守りたいという、強い決意が伝わってまいりました。
2.解決までの道のり / ミラシアだからできたこと
ステップ1:初回相談で、障害の子の生活保障に特化した「福祉的信託」をご提案
お問い合わせ当初、葛西徳治様は「長男の生活をどう守ればいいのか」「所有する収益物件をどう託せばいいのか」という複数の課題と、ご自身の体調への不安が入り混じり、何から手をつければ良いか分からないご様子でした。
私たちはまず、相続・遺言・家族信託を専門とする立場から、ご家族の状況や財産の内容、そして何よりも「障害のあるご長男様の生涯を守りたい」という切実な想いを丁寧に伺いました。その上で、単なる資産の引き継ぎではなく、ご家族の心情に寄り添い「生活保障」を目的とする、当法人の福祉的信託への深い知見に基づき、家族信託が最適な解決策であることをご提案いたしました。
漠然としていた不安が「家族信託」という具体的な道筋に変わったことで、葛西徳治様も安堵されたご様子でした。 専門家からの具体的な提案により、「これで長男の将来を守れるかもしれない」という希望を感じていただけた瞬間でした。
ステップ2:税理士と連携し、節税と手残りの最大化を両立させた信託内容を設計
家族信託という大きな方向性は見えましたが、実際に進めるには専門的な課題が残っていました。収益物件を信託財産とすることによる税金面への影響や、管理を引き受けるご三男様への負担、別居されているご次男様との公平性をどう担保するかなど、一つひとつ丁寧な検討が必要でした。
ここで、当法人の士業ネットワークによるワンストップ対応という強みが活かされました。ご紹介元の顧問税理士様と密に連携を取り、信託を設定することによる相続税や障害年金への影響を具体的にシミュレーション。収益物件特有の課題や税務の論点を整理しながら、ご家族の皆様が心から納得できる最適な契約内容を練り上げていきました。
法務と税務の専門家が一体となって計画を進めることで、葛西 徳治(仮名)様も安心して手続きをお任せいただけたようでした。
ステップ3:負担がかかるご家族全員の合意形成と公正証書の作成
最終的に設計した信託契約が、本当の意味でご家族全員のためになるのか、特に管理という重責を担うご三男様や、ご自身の家庭を築かれているご次男様にご理解いただくことが、最後の重要なステップでした。
私たちは、ご家族皆様がお集まりになる場を設け、それぞれの立場やお気持ちを尊重しながら、信託の目的と仕組みを丁寧に説明いたしました。なぜこの仕組みがご長男様のために必要なのか、ご三男様に過度な負担がかからないよう配慮されていること、そして何よりもこれがご家族の未来を守るための最善策であることをお伝えし、皆様の深いご理解を得ることができました。
その後、契約内容を法的に確実なものとするため公証役場で手続きを行い、ご家族の想いを込めた信託契約を公正証書として完成させました。契約完了後、「これで安心して療養に専念できます」というお言葉をいただき、私たちも心から安堵いたしました。
3.得られた結果
専門家が手続き完了まで伴走したことで、ご家族は以下のような安心を手に入れられました。
わずか3ヶ月という短期間で、障害を持つご長男様の生涯にわたる生活費を確保する仕組みを完成させました。
お父様に万一のことがあっても収益物件の経営が滞らない、資産凍結リスクを回避する体制が整いました。
ご三男様が管理者、ご長男様が受益者という役割分担を明確にし、ご兄弟間の円満な資産承継を実現しました。
将来の相続手続きや生活の負担を考慮し、顧問税理士や社会保険労務士と連携してスキームを構築しました。
4.担当司法書士から
初めてお話を伺った際、ご自身の病気と向き合いながら、何よりも障害のあるご長男様の将来を深く案じていらっしゃる葛西 徳治(仮名)様の強い親心が印象的でした。今回の課題の核心は、残された時間が限られているかもしれないという焦りの中で、いかにして確実にご長男様の生涯を守る仕組みを築くか、という点にあったと感じています。
収益物件を信託財産とし、さらにご両親亡き後もご長男様が利益を受け取り続けられるようにする信託は、単に書類を作成するだけでは実現できません。不動産経営の実務、税務上・労務上の影響、その上で「親なきあと問題」という福祉的な視点まで含めた、複合的で高度な専門知識が求められます。
当法人がこの難題を解決できたのは、これまでお受けした1,000件を超えるご相談から得た知見と、特に福祉分野の信託に関する経験があったからです。また、顧問税理士様と即座に連携し、法務、税務、労務の両面から最適な設計を迅速に行えた、士業ネットワークによるワンストップ対応力も、短期間での実現に不可欠でした。
ご家族全員で契約内容を確認し、皆様が納得された上で調印を終えたあと、葛西 徳治(仮名)様の安堵された表情は今でも忘れられません。「これで安心です」という一言をいただけた時、「ご家族の未来を守る大切なお手伝いができた」と、私自身もとても嬉しく思いました。
今回構築した仕組みによって、葛西 徳治(仮名)様は安心してご自身の療養に専念できる体制が整いました。そして何より、ご長男様がこれからも変わらず、穏やかな生活を送り続けるための確かな基盤ができたと確信しております。
ご自身の健康問題や、ご家族の将来について、誰にも相談できずに一人で不安を抱えていらっしゃる方も少なくないかもしれません。私たち司法書士法人ミラシアは、法律の専門家であると同時に、皆様の想いに寄り添うパートナーです。どうぞ、抱えているお悩みを、私たちにお聞かせください。



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