【住所変更登記義務化】いつから開始?期限・罰則・費用を徹底解説

 2021年4月21日 、所有者不明土地問題の解消・予防のため、相続の義務化とともに、住所変更記を義務化する改正法が参議院本会議で成立しました。2026年までに改正法が施行され、義務化が開始される予定です。

 相続の登記の義務化については、下記コラムをご覧ください。

 住所変更登記とは、不動産の所有者の住所が変更された場合の登記手続をいいます。これまで住所変更登記の行うことは法律上の義務ではなく、手続きの期限もありませんでした。

 義務化がスタートした後に住所が変更となった場合、不動産を所有している方は必ず住所変更登記を申請しなければなりません。また、義務化がスタートした時点で既に住所が変更となっている方も対象となります。

 本コラムでは、登記手続の専門家である司法書士が住所変更登記義務化の背景、開始時期、期限、罰則などを分かりやすく説明します。また、住所変更記の流れ費用についても解説いたします。いざ義務化が開始された際に慌てないように、しっかり事前に対応をしておきましょう。

1 住所変更登記が義務化!期限は「2年以内」、義務化前の住所変更も対象

住所変更登記は「2年以内」に行わなければならない

 これまで住所変更登記を行うかどうかは所有者の任意でした。そのため、わざわざ住所が変わるたびに住所変更登記を行っている人はあまりおらず、不動産の売却や担保設定などのタイミングで変更登記をすること(これらの場合は必ず変更登記が必要となる)がほとんどでした。

 義務化がスタートした後は、不動産の所有権の登記名義人の氏名、名称、住所について変更があったときは、その変更があった日から2年以内に変更の登記を申請しなければなりません。

 住所だけでなく、結婚・養子縁組などによって「氏名」が変更した場合も対象になります。また、個人だけでなく「法人」の名称変更や住所変更(本店移転)も対象となります。

義務化「前」の住所変更なども対象となる

 義務化がスタートした後に住所変更があった場合に住所変更登記を申請しなければならないのはもちろんですが、義務化「前」に住所変更があった場合も対象となることには注意が必要です。

 義務化が開始された時点で既に住所が変更されていた場合には、下記①または②いずれか遅い日から2年以内に住所変更登記申請しなければなりません。

①住所変更があった日

②改正法の施行日

住所変更登記が必要なケース・不要なケース

 登記簿上の住所が変更されたからといって、必ず住所変更登記が必要となるわけではありません。住所必要となるケースと不要なケースがあります。

住所変更登記が必要な場合

①登記簿上の所有者が転居した場合

 実際に登記簿上の所有者が転居している場合には、住所変更の登記を申請しなければなりません。

②住居表示の実施が行われた場合

 住居表示の実施とは、住所の表示を地番を用いた表示(〇町〇丁目〇番地 )から住居表示制度を用いた表示(〇町〇丁目×番△号 ) に変更することいいます。 この場合、住所変更の登記を申請しなければなりません。

③行政区画の変更によって地番が変更された場合

 行政区画の変更とは、市町村合併や区制の施行などによって市区町村の名称が変わることをいいます。行政区画の変更に伴い地番も変更される場合には、住居変更の登記を申請しなければなりません。

住所変更登記が不要な場合

地番変更を伴わない行政区画の変更が行われた場合 

 行政区画の変更によっても地番に変更がない場合には、住所変更登記は不要です。

②所有者が死亡している場合

 すでに登記簿上の所有者が亡くなっている場合には、住所変更登記は不要です。相続登記を申請しなければなりません。ただし、登記簿上の住所から亡くなった際の住所がつながりを証明するため、住民票の除票や戸籍の附票を相続登記に添付しなければなりません。

2 住所変更登記をしなかった場合の罰則

 住所変更登記をしなった場合、罰則はあるのでしょうか。改正法によって「2年以内」に住所変更登記をしなければならないとする義務を果たせなかった場合には、罰則が課せられることになりました。

 義務化がスタートした後は、申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、「5万円以下の過料」に処せられるということになります。あくまで「正当な理由がない」にも関わらず、登記申請を怠った場合が対象となります。

3 住所変更登記が義務化された背景

 住所変更登記が義務化された背景には、「所有者不明土地」問題があります。

 所有者不明土地とは、「不動産登記簿等の所有者台帳により、所有者が直ちに判明しない、又は判明しても所有者に連絡がつかない土地 」と定義されています。住所が変更されておらず所有者と連絡がとれない土地も含みます。

 地籍調査における土地所有者等に関する調査」(2016年)によれば、所有者不明土地が発生する主な原因は①相続登記を行っていない(66.7%住所変更登記を行っていない(32.4%)であるとされています。

 このため、今回の法改正によって、所有者不明土地の発生を防ぐためにこれまで任意であった相続登記と住所変更登記が義務化されたのです。

4 住所変更登記の手続き・流れ・費用

 それでは、住所変更登記の手続きはどのように進めていけばよいのでしょうか。基本的な流れを確認していきましょう。氏名の変更登記も基本的には同じ流れで進めていくことになります。

住所変更登記の手続きと流れ

ステップ① 管轄法務局の確認

 住所変更登記は、不動産を管轄する「法務局」に対して申請します。どの法務局でも申請できるわけではなく、不動産所在地の市区町村ごとに管轄が決まっています。新しい住所ではなく、あくまで不動産の所在地が管轄となります。まずは住所変更登記を行う不動産の管轄を確認しましょう。管轄は下記から確認をすることができます。

【参考】管轄のご案内(法務局のホームページ内) 

 登記簿上の住所が分からない場合には、インターネットで登記情報提供サービスを利用することによって調べることが可能です。

【参考】登記情報提供サービス

ステップ② 必要書類の準備

 住所変更登記には下記の書類が必要となります。

①住民票または戸籍の附票など

 現住所だけでなく、登記簿上の住所と現住所のつながりを証明するために必要となります。戸籍の附票とは、戸籍が作られてから(またはその戸籍に入籍してから)現在に至るまで(またはその戸籍から除籍されるまで)の住所の履歴が記録されている書面をいいます。

・登記簿上の住所から直接現住所に移転している(住所変更が1回のみ)場合
→「住民票」または「戸籍の附票」が必要となります。

・登記簿上の住所から直接現住所には移転していない(住所変更が複数回ある)場合
→「戸籍の附票」

・住居表示の実施によって住所が変更された場合
→「住居表示実施証明書」

・地番変更を伴う行政区画の変更があった場合
→「変更証明書」

 住民票は、「住所」がある市区町村役場で取得するのに対して、戸籍の附票は、「本籍地」がある市区町村役場で取得します。 住居表示実施証明書や変更証明書は市区町村役場でで取得します。

 なお、住所ではなく「氏名」を変更する場合には、婚姻や養子縁組等で氏名が変わったことが記載されている戸籍謄本が必要となります。

②登記申請書

 登記申請書には、法令で定められた登記簿に記録しなければならない情報を記載します。参考として記載例を載せておきます。

【参考】住所変更登記の申請書の記載例 

ステップ③ 住所変更登記の申請

 住所変更登記を申請する方法には、次の3つの方法があります。

 ①窓口に直接登記申請書類をもっていく「窓口申請」
 ②登記申請書類を郵送する「郵送申請」
 ③オンラインで必要な情報を送付する「オンライン申請」

 オンライン申請は、システム環境整備の手間などの理由で現実的にはほぼ専門家しか利用していません。ご自身で申請する場合には、窓口申請か郵送申請を利用しましょう。

 登記申請の際には登録免許税を納付する必要があります。納付の方法としては、窓口申請・郵送申請の場合には、収入印紙を購入して納付します。オンライン申請の場合には、収入印紙で納付することも可能ですし、電子納付を行うことも可能です。

ステップ④ 住所変更登記の完了

 住所変更登記の申請後、1週間~10日程度で登記手続きが完了します。

住所変更登記にかかる費用

【住所変更登記にかかる費用】

専門家にかかる費用

  住所(氏名)変更登記の専門家は司法書士です。弁護士も登記の代理申請を行うことができますが、実務上はほとんどのケースで司法書士が代理人として住所変更登記を申請しています。

 司法書士にかかる報酬は、依頼する司法書士によって異なりますが、1.5万円~2万円が相場です。報酬は対象となる不動産の個数によって変わってくるのが一般的です。

専門家に依頼しなくてもかかる費用

 言い換えれば、自分で住所(氏名)変更登記を申請した場合でもかかる費用です。

● 登録免許税

 登記簿上の住所を変更するには登録免許税という税金がかかります。
 住所(氏名)変更登記の場合、【不動産の個数×1,000円が登録免許税となります。

● 戸籍など取得費用

 上記で確認したようの住所変更登記には住民票や戸籍の附票が必要となります。これらの取得費用は概ね1通あたり300円です。

● 郵送費

 住民票や戸籍の附票を郵送で請求した場合や住所変更登記を郵送申請・オンライン申請(オンライン申請でも添付書類は法務局に郵送する)した場合にかかる郵送費です。

5 住所変更登記義務化と同時に開始する制度や方策

 

今回の法改正とともに、登記簿上の住所を最新の状態にしておくために様々な制度や方策が開始される予定です。主なものを確認していきましょう。

① 登記申請の際には、氏名・住所のほか、生年月日等の「検索用情報」の申出を行うようになります。

② 登記官が、検索用情報等を用いて住民基本台帳ネットワークシステムに対して照会し、所有権の登記名義人の氏名・住所等の異動情報を取得することができるようになります。

③ 登記官は、所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったと認めるべき場合として法務省令で定める場合には、法務省令で定めるところにより、職権で、氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記をすることができるようになります。ただし、当該所有権の登記名義人が自然人であるときは、その申出があるときに限るとされています。

④ 法人が所有権の登記名義人となっている不動産について、会社法人等番号が登記事項に追加されるようになります。

⑤   法人・商業登記システムから不動産登記システムに対し、名称や住所を変更した法人の情報を通知することになります。

⑥ 取得した情報に基づき、登記官が職権で変更の登記をすることができるようになります。

⑦ 所有権の登記名義人が国内に住所を有しないときは、その国内における連絡先となる者の氏名又は名称及び住所その他の国内における連絡先に関する事項として法務省令で定めるものが登記事項となります。なお、連絡先として第三者の氏名又は名称及び住所を登記する場合には、当該第三者の承諾が必要となります。

6 まとめ

 最後までお読みいただきありがとうございました。住所変更登記の義務化がスタートした際に慌てないように、早めに対応しておくことをオススメいたします。

 それでは、最後に本コラムとまとめです。

まとめ

・2026年までに住所変更登記の義務化がスタートする予定

・義務化開始後は、住所変更後「2年以内」に住所変更登記を申請しなければならない

義務化開始前の住所変更も対象となる

・義務に違反した場合には、「5万円以下」の過料の対象となる

  1. 専門家(国家資格者)による専任担当制
    経験豊富な専門家が専任担当として、業務完了までサポートいたします。
  2. 相続・遺言・家族信託 専門
    当法人は相続・遺言・家族信託専門の事務所です。お客様に最適な解決策をご提案いたします。
  3. 豊富な相談実績・ノウハウ
    1,000件を超える豊富な相談実績から蓄積されたノウハウで高難度な案件にも対応が可能です。
  4. 土日祝祭日や夜間(22時まで)の相談、出張相談も可能
    お仕事などでお忙しい方でも安心して相談頂けます。
  5. スピード対応
    お急ぎのお手続きでもスピーディー・丁寧に対応いたします。
  6. 全国対応
    関東圏に限らず日本全国の案件に対応可能です。

コメント

家族信託の相談実績1,000件以上!司法書士法人ミラシア
家族信託の無料相談受付中!