家族信託の普及に伴い、家族信託の関連書籍は数多く出版されています。家族信託について知りたいと思ったときに、どの本を読めば良いのか迷ってしまう方も多いことでしょう。
そこで、本コラムでは、家族信託の理解度に応じて初級編・中級編・上級編とレベル分けをし、専門家が心からおすすめしたい本を厳選しました。
皆様の家族信託の理解を深めてくれること間違いなしです。是非参考にしてみてください。
1 【初級編】家族信託をゼロから知るための本
まずは、「家族信託」という制度について、全くの初心者でこれから勉強しようと考えている方におすすめの本をご紹介します。
どの本も家族信託という難しい制度を非常にわかりやすく説明しています。実際に専門家に相談に行く前に読んでおくとよいでしょう。
初級編を読み、更に深く知りたいと思った方は、中級編の中で紹介している本に挑戦してみましょう。
・これから専門家に家族信託について相談をしてみようと考えている方
【難易度★☆☆☆☆】
『いちばんわかりやすい家族信託のはなし』
家族信託について最も平易に分かりやすく書かれた書籍です。
専門用語を用いずに、家族信託の本質的な内容が解説されていますので、一般の方でも無理なく読み進めていけます。ページ数も多くありません。また、事例もふんだんに紹介されており、家族信託の利用シーンを具体的にイメージすることができます。
【難易度★☆☆☆☆】
『図解 2時間でわかる!はじめての家族信託【相続・認知症で困らないために】』
会話形式での解説とフルカラーの図解で”分かりやすさ”にこだわった、初心者には嬉しい1冊です。
「家族信託とは何か」という基本的な部分から、実際に家族信託を利用した場合の実務的な注意点に至るまで、無駄なくテンポよく解説されています。
本書の著者である宮田浩志先生は、家族信託の第一人者の専門家です。豊富な実務経験に裏打ちされた鋭い解説は専門家でも非常に勉強になります。
【難易度★☆☆☆☆】
『親の財産を凍結から守る 認知症対策ガイドブック』
弊社代表元木が執筆した本です。
家族信託だけでなく、成年後見制度・生前贈与など認知症対策全般を網羅的に解説しています。また、自宅・預貯金・アパートなど財産の種類別に具体的な認知症対策が書かれているのも他に類をみない特徴です。私も執筆協力しておりますので、自信をもって推薦できる書籍です。
これから認知症対策をスタートする方にとっては必読の内容です。
2 【中級編】より詳しく家族信託を知るための本
では次に、家族信託の基本は理解できたので、より詳しい実践的な内容の本を求めているという方におすすめの本を紹介していきます。
・専門家に相談する前に家族信託の全体像を理解しておきたい方
・家族信託の業務にこれから取り組もうとしている士業やコンサルタント
【難易度★★☆☆☆】
『相続・認知症で困らない家族信託まるわかり読本』
初級編で紹介した『図解 2時間でわかる!はじめての家族信託【相続・認知症で困らないために】』の著者である宮田浩志先生の書籍です。家族信託の利用を検討している方が最も知りたいことは、「家族信託が自分たちの家族にとって有用な制度なのか」ということでしょう。本書は豊富な事例をもとにベースに、家族信託の利用方法や注意点についてを詳しく解説しています。読者が知りたい疑問に答えてくれる1冊です。
これから家族信託の業務を開始したいと考えている専門家にとっても非常に役に立ちます。実務を進める上で疑問に思う項目が体系的に網羅しています。弊社でも新しいスタッフの必読書にしています。
【難易度★★★☆☆】
『よくわかる民事信託ー基礎知識と実務のポイント』
家族信託(民事信託)の基礎知識から実践的な活用方法まで、幅広く網羅してある1冊です。特徴は法律的な論点だけでなく、税務上の留意点や口座開設などの金融実務についても詳しく説明されていることです。金融機関の職員やFP向けに書かれた書籍ですので、やや難しいですが、一般の方が家族信託について理解を深めるためにもおすすめな本です。
【難易度★★★☆☆】
士業・専門家のためのゼロから始める家族信託
「士業・専門家のための」とタイトルに謳っている通り、一般の方・初学者向けというよりは、専門家向けの実践的な内容となっています。
家族信託の業務を行う専門家であれば、必ず読むべき書籍といっても過言ではありません。クライアントへ家族信託を提案する際の心得、受任後の業務フロー、注意点など家族信託の業務ノウハウが余すところなく公開されています。家族信託の業務が未経験であっても、本書を読むことによって業務の具体的イメージが掴めるはずです。
3 【上級編】家族信託について専門的な知識を得るための本
最後に、家族信託の業務を依頼された専門家必携の上級編を2冊ご紹介します。
様々な論点が掲載されており、とてもためになる内容となっています。
・専門家に依頼せず、自らで家族信託契約書を作成する予定の人
【難易度★★★★★】
弁護士が答える民事信託Q&A100
家族信託(民事信託)の実務を行っていく上で直面する疑問点や注意点がQ&A形式で解説されています。不明点がでてきたときに調べるための辞書的な役割としておすすめです。どの項目も非常に論理的・体系的に書かれており、家族信託やその周辺知識について理解を深めることができます。家族信託に携わる専門家にとって必携の1冊です。
【難易度★★★★★】
信託法からみた 民事信託の手引き
家族信託(民事信託)の分野で著名な弁護士である伊庭潔先生の書籍です。
まさにタイトルのとおり、本書は実務の「手引き」となる内容ばかりです。ここまで実務上の論点や注意点が整理されている書籍は他にありません。家族信託の実務を扱う専門家であれば、必ず読んでおきたい1冊です。
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