【相続登記】これで解決!住所がつながらないときのケース別対処法

悩む女性 相談者Aさん

父が亡くなり相続登記をしたいのですが、不動産の登記簿に書かれている住所が古く、そこに住んでいたことを証明する公的書面が提出できません。どうすればよいでしょうか?

相続登記を行う際、まずはじめに、被相続人(亡くなった人)の最後の住所(=住民票の除票や戸籍の除附票に記載されている住所)と不動産登記簿の所有者欄に記載されている住所が同一かどうかを確認しましょう。

この2か所の住所が一致していない場合、登記簿上の住所から最後の住所までの履歴(連続性)を公的書面で証明する必要があります。この作業を「住所をつなげる」と呼んでいます。

しかし、様々な理由により、住所を示す公的書類が取得できず証明することができないこともあります。この状態を「住所がつながらない」といいます。

住所のつながりを示す公的書面が提出できないと、そのままでは相続登記ができません。

本コラムでは、「住所がつながらない」状態であっても相続登記を完了させるための解決方法をお伝えしていきます。ぜひご一読いただき、相続登記の参考にしていただければと思います。

1 「住所がつながらない」と相続登記ができない

住民票の除票や戸籍の除附票に記載されている住所(被相続人が最後に住んでいた場所)と、不動産の登記簿に記載されている所有者の住所が一致していない場合、相続登記を完了させることはできません。

この場合、被相続人が生前いずれかの時点で、不動産の登記簿に記載されている住所に居住していたことを証明すると共に、最後の住所地に移り住むまでの住所の変遷を示す(=住所をつなげる)必要があります。

しかし、公的な証明書を用いても、故人が不動産の登記簿上の住所に住んでいたという事実を示すことができないことがあります。この状態を「住所がつながらない状態」と言います。

プラスワン・アドバイス 最後の住所=住民票の除票に記載されている住所でいいの?

相続登記において、最後の住所とは「住民票の除票に記載されている住所」のことを言います。あくまで住民票上の住所で考えることになります。
例えば、老人ホームなどに入居しておりそのまま亡くなったとしても、住民票上の住所を老人ホームに変更しておらず自宅のままというケースもあります。この場合、最後の住所は「自宅の住所」ということになります。

2 住所をつなげなければならない理由

住所をつなげなければならない理由は、被相続人と不動産の所有者が同一人物であることを証明する必要があるからです。

氏名が同じだけでは、被相続人と不動産所有者が同姓同名の人物である可能性はゼロでありません。法務局側では調査ができませんから、相続登記を申請する相続人がが亡くなった人と不動産所有者が同一人物であることを公的書面で示す必要があるのです。

被相続人と不動産所有者が同一人物であることを示す要素は2つあります。この2つが合致して初めて、被相続人と不動産所有者が同一人物であるとされます。

 

①氏名

被相続人戸籍謄本に記載されている氏名不動産の登記簿上に記載されている所有者の氏名が一致していることが必要となります。

②住所

被相続人住民票除票(または戸籍の附票)に記載されている住所不動産の登記簿上に記載されている所有者住所が一致していることが必要となります。

3 住所がつながらない場合の対処法

被相続人の最後の住所(住民票の除票に記載されている住所)と不動産登記簿に記載されている住所が一致しない場合には、まず下記のいずれかの書面を確認してみましょう。

・住民票の除票(*前住所欄を確認)

・戸籍の附票

これらの中で、登記簿に記載されている住所が確認できれば、被相続人がその住所に住んでいたということになります。そして、被相続人と不動産所有者が同一人物であることも証明され相続登記を行うことができるのです。

しかし、次のような場合、上記2つの書面では故人が不動産の登記簿上の住所に住んでいたという事実を示すことができず、「住所がつながらない状態」に陥ってしまいます。

(1)住民票の除票・戸籍の附票で登記簿上の住所が確認できない場合

(2)住民票の除票・戸籍の附票も不動産の権利証(または登記識別情報通知)も提出できない場合

それでは、上記のような場合でも相続登記を行うために必要な書類について、詳しく解説します。

プラスワン・アドバイス 住民票の除票よりも戸籍の附票を取得するのがおすすめ
どちらも住所を証明する書面ですが、記載される住所の範囲が異なります。
住民票の除票 → 最後の住所と1つ前の住所

・戸籍の附票 → 最後の住所とその戸籍に在籍していた間のすべての住所の変遷

住民票の除票では1つ前までしか辿れませんが、戸籍の附票では、本籍が変わっていなければ、その戸籍に在籍している間のすべての住所の変遷を辿ることが可能です。

そのため、住所が変わっている可能性がある場合には戸籍の附票を取得することをおすすめします

(1)住民票の除票・戸籍の附票で登記簿上の住所が確認できない場合

住所がつながらない保存期間が経過し廃棄されてしまったなどの理由により、市区町村から住民票の除票や戸籍の附票の発行がされない場合があります。住民票の除票もとれない、戸籍の附票もとれない場合、どのようにしたらよいのでしょうか?

このようなケースで法務局から提出を求められるのが、不動産の権利証または登記識別情報通知です。

不動産の権利証や登記識別情報通知は、売買や贈与、相続等で不動産を取得際に法務局から発行される所有者であることを証明する書類です。厳正な登記手続きによって発行された書面ですので、これを所持し提出できるということは、亡くなった人は不動産の所有者と同一人物であるのだろうと法務局は判断するのです。なお、この書類は、所有者本人に対して1回しか発行されません。たとえ紛失したとしても、再発行には応じてもらえません。

プラスワン・アドバイス 住民票の除票や戸籍の附票の保存期間が大幅延長に!

住民票の除票や戸籍の附票には法令に定められた保存期間が存在します。保存期間を過ぎたものは廃棄され、その後は取得することができなくなります。

保存期間は、これまで「戸籍の附票を消除し、又は改製した日から5年間」と定められていました。そのため、いざ発行してもらいたいと思ったときにはすでに保存期間が経過しており、住所の証明が不可能になってしまうということが往々にしてありました。

そこで、令和元年6月20日施行された住民基本台帳法施行令の一部改正により、この保存期間が「150年間」に延長されました。今後は、住民票の除票や戸籍の附票が廃棄されてしまったために住所のつながりが証明できないということはほとんどなくなるでしょう。

注意すべき点は、「すでに廃棄されているものには適用されない」という点です。施行日(令和元年6月20日 )時点で、すでに廃棄されていた戸籍の附票に関しては150年経っていないものであったとしても取得はできません。また、平成26年3月31日以前に除票となったものについては、既に保存期間を経過し廃棄されているため取得はできません。

(2)住民票の除票・戸籍の附票も不動産の権利証(登記識別情報通知)も提出できない場合

住所がつながらない

住民票の除票・戸籍の附票といった公的書類でも登記簿上の住所が確認できず、加えて不動産の権利証(登記識別情報通知)も紛失しており提出できない…という八方塞がりの状況。このままでは相続登記ができません。

このような場合、下記の3種類の書類の提出することで相続登記が可能となります。

① 上申書

上申書とは、「公的書面では住所を繋げることができず、加えて権利証も紛失し提出できない状況ですが、故人は不動産の所有者本人に間違いないので登記してください」と法務局に対してお願いをする文書です。

② 不在籍証明書

不在籍証明書とは、相続登記の申請日において、申請された本籍・氏名と一致する戸籍、除籍、改製原戸籍が存在しないことを証明する書面です。

例えば、上記不動産の所有者である法務五郎が死亡し、埼玉県甲田町が最後の住所とします。

不在籍証明書によって証明できることは、
『申請日(令和3年7月15日)時点で、法務五郎が「特別区南都町一丁目5番5号」に本籍地を有したことを証明できる書面は存在しない』
ということです。

このことから、埼玉県甲田町に住所を有していた法務五郎が、該当不動産の所有者と同一人物である可能性が高いと言えるのです。

③不在住証明書

不在住証明書とは、申請日現在において、申請された住所・氏名と一致する住民票、除票、改製原住民票が存在しないことを証明する書面です。

前述②の例と同様に、上記不動産の所有者である法務五郎が死亡し、埼玉県甲田町が最後の住所とします。

不在住証明書によって証明できることは、下記の2点です。
『申請日(令和3年7月15日)時点で、「特別区南都町一丁目5番5号」に住んでいる法務五郎という人物は存在しない』
『かつて、法務五郎が「特別区南都町一丁目5番5号」に住んでいた事実があったとしても、それを証明する公的はすでに破棄されており発行できない』

このことから、
・埼玉県甲田町に住所を有していた法務五郎が、該当不動産の所有者と同一人物である可能性が高いと言える
「特別区南都町一丁目5番5号」に法務五郎が住んでいたことを示す公的書面の提出は物理的に不可能
ということを示すことができます。

以上の、①~③の書類を併せることによって、公的書面では登記簿上の住所に居住していたことを証明できない場合であっても、相続登記をすることが可能になります。ケースによっては、この他にも提出を求められる書面がある場合もありますので、登記申請前に管轄の法務局に確認することをおすすめします。

4 まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

これで住所がつながらない場合の相続登記も進めていくことができると思います。何かご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

それでは、最後に本コラムのまとめです。

まとめ

●「住所がつながらない」とは?
公的な証明書を用いても故人が不動産登記簿上の住所に住んでいた事実を証明できない状態

●  住所をつなげなければならない理由とは?
故人と不動産の所有者が確かに同一人物であることを証明する必要があるため 

同一人物かどうかは氏名と住所の一致で判断する

● 住所がつながらない場合の対処法
(1)住民票の除票・戸籍の附票で登記簿上の住所が確認できない場合
   提出書類 : 不動産の権利証 または 登記識別情報通知
(2)住所証明書も、不動産の権利証(または登記識別情報通知)も提出できない場合
   
提出書類 : 上申書 及び 不在籍証明書・不在住証明書

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